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映画に関わるすべての人に幸せな未来を−−「JAM STAND COFFEE」のオーナーがコーヒースタンドを営む理由

田園都市線・池尻大橋駅から5分ほど歩いた住宅街に突如として現れる「レインボー倉庫」。アトリエや古着店、作業場などが集まった大人の秘密基地というべきディープな空間には、クリエイターを中心に様々な肩書きを持つ方が出入りし、新たなカルチャーの発信地となっています。2015年にオープンしたコーヒースタンド「JAM STAND COFFEE(ジャムスタンドコーヒー)」は、倉庫内で唯一の飲食を担う重要な存在。コーヒーだけでなく、映画の上映を行ったり、ワークショップや展示会も企画しています。今回は、オーナーの三宅さんと、ドリンクやフードを監修する坂本さんに話をうかがってきました。

テーマはミックスカルチャー

──いきなりですみませんが、このレインボー倉庫…なかなかディープな場所ですね。

三宅さん「ですよね(笑)。最初は入りづらいかもしれませんが、誰でも大歓迎です。ぜひ第一印象のハードルを突破して、一歩足を踏み入れてほしいです。」
ヒャクマンボルト (170809)

JAM STAND COFFEEオーナーの三宅さん
via ヒャクマンボルト
──ジャムスタンドコーヒーは、コーヒースタンドとして飲食を提供するだけでなく、映画の上映などもされていますよね。

三宅さん「そうですね。『ニューシネマミーティング』と題して、共有スペースに木枠を組み合わせた80インチのスクリーンを置き、そこで自主制作映画を上映しています。ただ映画を上映するだけはなく、お客さんや監督、関係者が垣根を超えて気軽に話をして交われる場所になっています。」
JAM STAND COFFEE (170818)

via JAM STAND COFFEE
──監督と普通に話ができるというのは貴重な機会ですね。他にもワークショップや展示も行っているようですが、過去にどんな企画がありましたか?

三宅さん「これまでに行ったのは、種類豊富なオールドレンズを使ってカメラの撮影方法をレクチャーするカメラ屋さん主催の企画や、パソコンの動画編集ソフトの使い方講座、ドライフラワーやプリザーブドフラワーのアレンジ、キャンドル作りや足袋作り、写真展など、いろいろなイベントを行ってきました。」

坂本さん「カメラのレクチャーでは、参加した人全員がカメラにハマって、みんながSNSでアップする写真のクオリティが一気上がったんですよ。この場所は『ミックスカルチャー』をテーマに、人や文化がジャムセッションをするように関わり合う場所を目指しているんです。その中でコーヒーは、人を集めるためのフックとして大切な存在です。」
ヒャクマンボルト (170810)

フードとコーヒーを監修している株式会社 Yuinchu (ユインチュ)の坂本さん
via ヒャクマンボルト

毎朝セントラルキッチンから届くコーヒー豆とフードメニュー

──コーヒーやフードメニューへのこだわりを教えてください。

坂本さん「飲食に関しては、私が所属する株式会社 Yuinchu (ユインチュ)の飲食事業Mo:take(モッテイク)が手掛けています。モッテイクは、ホームパーティーやウェディング、イベントなどでのケータリングを主に展開していて、ここで提供するメニューもセントラルキッチンで作ったものを毎朝メッセンジャーで届けています。」
ヒャクマンボルト (170811)

via ヒャクマンボルト
──今いただいているアイスコーヒー、とても美味しいです。

坂本さん「ありがとうございます。コーヒーは焙煎士さんとタッグを組んで開発したモッテイクのオリジナルブレンドです。『スタンダード』と『ピクニック』の2種類があり、スタンダードは深煎りでコクがあり、ダークチョコレートのような風味とローストナッツのような香ばしさを感じる味わい。ピクニックは、爽快かつ華やかで、紅茶を飲んでいるかのような飲みやすい味わいが特徴です。

淹れ方はハンドドリップとエアロプレスの2種類で、カフェオレなども用意しています。フードメニューは日替わりのプレートで、土日は特製のチキンカレーを提供しています。」
ヒャクマンボルト (170812)

via ヒャクマンボルト
──しかし、コーヒースタンドでメニューをケータリングに依頼するというのはかなり珍しいですよね。

三宅さん「私がここでコーヒースタンドをやろうと思った一番の目的は、『ミックスカルチャー』の拠点となるコミュニティスペースをつくるということでした。そのため、この店以外にもワークショップやその他の事業も展開していて、正直なところ店舗で料理の仕込みをするほど手が掛けられないので、そこは坂本さんにお願いをしています。

決して面倒臭いとかネガティブな意味ではなく、信頼できる人に得意分野を任せることで、お客さんにも美味しいものを価格を抑えて提供できています。」
ヒャクマンボルト (170813)

via ヒャクマンボルト
──でも、毎朝メッセンジャーで届けてもらう分、コストがかかってしまうのではないでしょうか?

三宅さん「確かにメッセンジャーの費用はかかりますが、モッテイクさんのセントラルキッチンで他のケータリングや飲食店の料理もまとめて仕込みをしてもらえるので、一食あたりにかかる人件費が抑えられ、トータルで考えると、例えばランチプレートが800円、カレーが700円という値段で提供できています。」

坂本さん「それに、こちらとしてはたくさんの料理をまとめて仕込むので、品質管理もしやすいという利点もあります。」

──「ケータリング」「セントラルキッチン」という言葉からは、大量調理で没個性というマイナスなイメージも抱いてしまいますが、坂本さんはすごくこのお店に寄り添っているように感じます。
坂本さん「そうですね。三宅さんと話しながら店舗コンセプトを決めていったので、単純な飲食店を作るというイメージではなく、共通のビジョンを叶える為に一緒に始めました。

彼が事業の拠点としているこの店の飲食を僕に任せてくれることに、いい意味で責任感も感じています。ケータリングというと軽く聞こえるかもしれませんが、店のコンセプトを深く理解した僕らならではの、最高のものを提供しています。」
ヒャクマンボルト (170814)

via ヒャクマンボルト

映画館の館長からコーヒースタンドを開く多彩な経歴

──いろいろイベントを開いている中でも映画のイベントが多いですよね。なぜ映画なんでしょうか?

三宅さん「僕は昔から映画が好きで、ずっと映画に関わる仕事をしてきました。26歳の時に香川県で単館系映画館の館長を経験し、その後上京して起業し、映画の配給を始めました。」

──それは多彩な経歴ですね。そんな三宅さんがなぜコーヒースタンドを開いたのでしょうか?

三宅さん「映画館の館長や映画の配給といった経験を通して、独立系の映画館が各地で廃業し、作品も新しい才能が開花しにくいという現状を知りました。若い監督が作った無名の作品はYouTubeにアップされているだけで、そこに経済活動がなかなか生まれにくい現状があります。それは今の映画界の仕組みそのものに問題があると気づいたんです。

同じカルチャーというカテゴリでも、音楽は地方でも独自のシーンが盛り上がっていたり、その地方間でも横の繋がりがあったりと、インディーズでも小さな規模で経済活動が成り立っていると思います。そこで、映画も音楽のように、もっと小さなコミュニティで盛り上げていくようなことができるのではと思い、その拠点としてコーヒースタンドをオープンしました。」
ヒャクマンボルト (170815)

via ヒャクマンボルト
──今後はどのような展開をイメージしていますか?

三宅さん「実は今年の9月に、映画界のシステムを見直す取り組みのひとつとして、静岡県・西伊豆にある無人島で、完全 DIYのシネマキャンプフェス『MUJINTO cinema CAMP』を計画しています。

これは、参加者が企画から参加できる野外映画フェスで、運営に関するノウハウをすべて公開し、説明しています。これにより、企画に参加した人が今後また別のイベントを立ち上げてくれれば、シーンが活性化し、日本の映画界が元気に成長できる土壌ができていくと信じています。」
JAM STAND COFFEE (170819)

via JAM STAND COFFEE
──素晴らしいビジョン…しかし、なぜそこまで映画にこだわるんですか?

三宅さん「うーん…単純に、おもしろい映画が観たいんですよ。そして、映画に関わるすべての人に幸せな未来があったらいいなと思います。」

──最後に、このコーヒースタンドを訪れる人に伝えたいことはありますか?

三宅さん「はい。最初に話したように、どうしても入りづらい独特の空気があるので、『私、ここに居ていいのかな…』と感じてしまう人もいると思いますが、居ていいんです!大歓迎です。

僕らは自分たちの都合のいい人たちと都合のいい空間を作ろうと思っているわけではありません。この場所でたくさんの人が繋がり、文化が混じり合い、小さなセッションがたくさん生まれ、それが最終的に、ここに足を運んだ人の夢や幸せに繋がると嬉しいです。」
ヒャクマンボルト (170816)

via ヒャクマンボルト
三宅さんが思い描く理想像。それは、決して目先の自分の幸せではなく、映画やカルチャーを心から愛するが故の、未来を見据えたものでした。そして、そんなプロジェクトの拠点として、数ある飲食の業態からコーヒースタンドが選ばれるとは、改めてコーヒーという飲み物の懐の深さを感じました。三宅さんの想いに共鳴したMo:takeプロデュースのコーヒーやフードを、あなたもこの場所で、ぜひ楽しんでみてください。勇気を出して一歩足を踏み入れれば、新しい世界が待っています。
ヒャクマンボルト (170817)

via ヒャクマンボルト
【店舗情報】
「JAM STAND COFFEE」
住所:東京都目黒区東山3-18-9
営業時間:DAYTIME 12:00~18:00
NIGHT 18:00~23:00
定休日・不定休
ホームページ:http://jam-stand.com/


ライター:下條信吾
撮影:インディ
編集:ヒャクマンボルト

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