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海外からも人が集う、ノルウェー発の人気店「フグレン」が目指すものとは | rooVeR [ルーバー]

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海外からも人が集う、ノルウェー発の人気店「フグレン」が目指すものとは

“わざわざ飛行機に乗ってでも、飲みに行く価値あり”とニューヨークタイムズ紙のコラムニストから絶賛された、ノルウェーの首都オスロにあるインテリアショップ兼カフェバー「FUGLEN(フグレン)」。この店で修業を積んだ小島賢治さんが、2012年に東京の代々木公園にほど近い住宅地で、「Fuglen Tokyo(フグレン トウキョウ)」をオープンしました。インスタグラムでは「#fuglentokyo」のハッシュタグが1万4000件を超え、海外からも観光客が連日訪れるこのお店。小島さんに人気の秘密をうかがったところ、意外な答えが返ってきました。なお、今回のインタビューはフグレンが展開するインテリア部門のプロジェクト、「NORWEGIAN ICONS」のショウルームで行いました。

プロモーションにお金は使わない

──オープンから5年が経ちましたが、すごい人気ぶりですね。

「おかげさまで。今はコーヒーブームの影響もあってか、国内外からの観光客も多く、週末はまるでフェスみたいに人で溢れている時もあります(笑)。しかし、平日はガラッと雰囲気が変わり、近所の人が気軽に立ち寄る『街のコーヒーショップ』という感じです。たくさんの人が来てくれることはもちろん嬉しいですが、どちらかというと平日の顔が、本来のフグレンですね。」
ヒャクマンボルト (159555)

via ヒャクマンボルト
──あまり積極的なプロモーションをしていない印象がありますが、どうしてここまで人が集まるのでしょうか?

「お店を始める時から、地元に根付いたコーヒーショップでありたいと考えていたので、メディアへの対応以外は、『プロモーションにお金を一切使わない』と決めていたんです。『積極的にプロモーションをしなくても、絶対に成功する』という自信が最初からあったんですよね。」

「コーヒー」×「カクテル」×「インテリア」というスタイル

──「絶対に成功する」という自信の根拠は、どこにあったのでしょうか?

「オスロの本店は、2008年にコーヒー・カクテル・インテリアの3つがコンセプトになりました。日本展開の話が持ち上がったとき、国内はすでにコーヒーブームでスペシャルティコーヒーを出すお店も増えていたので、コーヒーだけではトップになれないと思いました。でも、カクテルバーやインテリアといったコーヒー以外のコンセプトが一緒なら勝負できると思ったんです。最初はお客さんが入らなくても、僕が信じたオスロ本店のやり方を貫こうと思っていました。」
ヒャクマンボルト (159557)

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──「Fuglen Tokyo」はフードの持ち込みがOKというのも特徴的ですよね。これはノルウェーのカフェのスタイルですか?

「ノルウェーのスタイルというよりも、オスロ本店のスタイルです。僕も当時オーナーに、なぜフードの持ち込みをOKにしているのか聞いたことがあったんですけど、『フグレンでフードを出すなら、コーヒー・カクテル・インテリアと同じようにこだわり、隣のレストランよりも高いクオリティにしないと意味がない。』と言われました。

東京も、やはりコーヒー・カクテル・インテリアへのこだわりが精一杯なので、近くにご飯の美味しいお店があるなら、そこのフードを持ち込んでもらいたいと考えています。その方が、お客さんも美味しいものが食べられるのでハッピーですよね。」
ヒャクマンボルト (159561)

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どこか懐かしいノルウェーインテリアの魅力

──今お話を伺っている場所はフグレンが展開するインテリア部門のプロジェクト、「NORWEGIAN ICONS」のショウルームですが、「Fuglen Tokyo」でもこちらのインテリアを使っていますよね。

「はい。『NORWEGIAN ICONS』では、ノルウェーを中心とした北欧のヴィンテージ家具とともに、昔作られたアイテムのリプロダクトも取り揃えています。『Fuglen Tokyo』でも家具やインテリアを販売しているので、手に取ってもらったり、座ってもらったりしながら、気になるものがあれば声を掛けてもらえればと思います。」


──北欧家具といえばデンマークやスウェーデンを思い浮かべますが、ノルウェーインテリアの魅力とは何でしょうか?
ヒャクマンボルト (159563)

via ヒャクマンボルト
「ほっこりと田舎っぽいデザインが多いんですよ。日本の昔の家具にも共通する雰囲気があると思います。ノルウェーは国が貧しかった頃、外貨を獲得するために家具を生産していましたが、1960年代に北海で石油が見つかって国が豊かになると、その必要がなくなり、家具の工場も閉めてしまいました。つまり、デザインも技術もその頃から発展せず、ストップしているんです。そんなノルウェーの家具を掘り出して紹介するのがフグレンのプロジェクトなんです。素朴で独特のノスタルジックさを持つノルウェー家具の魅力を知ってもらいたいです。」

お客さんに合わせない接客

──お店での接客で意識していることはありますか?

「そうですね、こう言うと誤解されるかもしれませんが、『お客さんに合わせないこと』を心掛けています。もちろん対価を払っていただくのでこちらが思うベストは尽くしますが、お客さん一人一人に合わせようとすると、人によって対応の仕方が変わり、時にはそれがマイナスに作用することもあると思います。自己満足と言われればそれまでですが、自分たちが心地良いと思う接客を、誰も真似できないところまで高めるという意識で日々お客さんと向き合っています。」
──「お客さんに合わせない」とは、具体的にどういうことでしょうか?

「『Fuglen Tokyo』ではオスロの本店と同じように、注文はスタッフが席に聞きに行かず、お客さんが自らカウンターで行うというスタイルにしています。これはヨーロッパだと割と一般的で、一目散にカウンターに向かい、テイクアウトしてサッと店を出る人もいれば、お店に入って席に着き、ゆっくり一服してからオーダーしに来る人もいます。日本では『まずはこちらで注文してください。』と促すお店が多いと思います。
ヒャクマンボルト (159566)

via ヒャクマンボルト
以前、新しいスタッフが親切心でそういった接客をしていたのを、来日していたオスロ本店のオーナーが見かけて『もっとお客さんの自由にさせたらいいんじゃない?』と言ったんです。もちろんお客さんが困っていたら助けますが、できるだけこちらからは声をかけず、オートメーションな言葉が店内に飛び交わないようにしています。」

──つまり「お客さんに合わせない」とは、「お客さんの責任範囲を広げることで、より自由に過ごしてもらう」ということですね。

「そうですね。だからこそ、お店のシステムを分かっている常連のお客さんは、とても居心地が良いと言ってくれます。最初にオーダーをしたあとは何時間居ても何も言いませんから。水もセルフですし、お会計も気にせず、『ほっといてもらえるので居やすい。』と。」

コーヒーへのこだわり

──豆にはどんなこだわりがありますか?

「『Fuglen Tokyo』では、すべて自社のロースター『Fuglen Coffee Roasters(フグレン コーヒー ロースター)』で焙煎した豆を使っています。オスロの本店にはロースターはなく、他社から豆を取り寄せているので、今は東京からもたまに豆を送っています。」

──それはおもしろい。“逆輸入”のような状態ですね。

「ヨーロッパの商社から生豆を買い、それを日本で焙煎してオスロに送るっていう独特なスタイルですね。」

──それはある意味、オスロ本店よりも東京店の方がコーヒーにはこだわっている……ということですよね?

「コーヒーに関して言えば、そうかもしれません。オスロ本店は、実はコーヒーよりカクテルバーのイメージが強いんですよね。インテリアショップ&カクテルバーというコンセプトはオスロの人にとっても新しいですが、コーヒーはあまりに一般的過ぎるというか、コーヒーを飲むことそのものが日常に浸透しているので、味にこだわってもなかなか評価されないんです。
ヒャクマンボルト (159567)

via ヒャクマンボルト
僕がオスロにいた時、好きだったカフェの常連さんから『何で日本人がこんな所にわざわざ来てるんだ?』と聞かれたので『バリスタ世界チャンピオンのコーヒーが飲めるからですよ。』と伝えると、『へえ、初めて知った。』という答えが返ってきたことがあります。コーヒーブームの日本とは大違いですよね。評価されにくいという現実は少し寂しいですが、それでも僕は、オスロのコーヒーも東京と同じレベルまで高められたらいいなと思っています。」


──最後に、小島さんが思う「コーヒーの魅力」とは?

「コーヒーをきっかけにたくさんの人と出会い、社会情勢や環境問題を知り、世界中で繋がりができるというのが大きな魅力です。『Fuglen Tokyo』で落とすコーヒー一杯には、そういったいくつものストーリーが凝縮されています。これからも地域に愛される“街のコーヒーショップ”として、コーヒーの魅力を伝えていきたいです。」
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取材をさせてもらったのは、とある平日の午前中。取材中に店内でコーヒーを飲み終えた一人の男性客が、チャイルドシート付の自転車に乗ってお店を後にしました。世界で話題のコーヒーショップの素顔は、地元の人の日常に溶け込んだ憩いの場でした。
ライター:下條信吾
撮影:インディ
編集:ヒャクマンボルト
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